平成23年5月10日に厚生労働省が公開した「生活保護制度の現状等について」によれば、平成21年度(2009年度)における生活保護総額は、事業費ベースでは約3兆円です。そのうち、「不正受給」は19726件、金額にして約100億円ですね。
これを単純計算しますが、0.01兆/3兆*100=0.0033*100=0.33%。すなわち、「不正受給」は生活保護費全体のなかで、わずか0.33%です。さらに、稼働収入の無申告や過少申告があった場合、行政の福祉事務所は課税調査の照会などによってそれを把握しています。ちなみに厚生労働省のデータには、インターネットを使えれば、誰でもすぐにアクセスすることができます。リンクを貼っておりますので、ご参照ください。
仮に、「冷徹」な言い方をしてみます。「不正受給をとりかえせ」というキャンペーンを大々的に展開するとしましょう。そのために必要なことは、「受給者バッシング」でないことは確かです。まず第一に、生活保護行政を担う福祉事務所のケースワークを充実させることです。
これは2005年のデータですが、福祉事務所の窓口のケースワーカーは1人当たり平均約80世帯を担当しています。定期的な保護世帯の訪問、毎月変動する保護費の計算、新規申請の相談や申請後の調査、生活保護の枠組みのみでは対応しきれないDVや児童虐待などの深刻かつ複雑なケースへの対応など、のしかかる業務の負荷は重い。 行政のケースワーカーの業務の負荷については、『生活保護VSワーキングプア 』大山典宏著(PHP新書)が読みやすく詳しいので、もしよかったら手にとってみてください。
―「不正受給が多い」というのは、メディアによってイメージが作られた部分もあるということでしょうか
大野氏:「不正受給が横行している」という言い方は、どこまでも「印象」の水準にとどまります。メディアが展開する、毎年恒例の「受給者バッシング」に踊らされている可能性が高い。建設的議論をしていくためには、嵐のようにセンセーショナルな事例を切り取って、しかもすぐに風化する「報道」に振り回されるのではなく。むしろその「中身の精査」のほうにこそ、関心を向けたほうがいいのではないでしょうか。
また、議論の前提として、社会保障のおおまかな「段階」を知っておくとよいと思います。日本の社会保障は、おおまかに分類して、「社会保険」―「社会福祉」―「扶助」の段階があります。日本の社会保障の特徴は、「社会保険」と「扶助」にウエイトが偏重していることです。「社会福祉」の層がスカスカなんですね。
生活保護は、「最後の砦」である「扶助」です。憲法第25条が保障する権利に基づき施行されている、生活保護法が法的根拠です。それ以上でも以下でもないと思います。今後の展望を考えていく際、第25条に依って政策や施策をひろげていくというのは、難しいのではないかと思われます。
「社会保険」は ― 日本では年金や医療の国民皆保険制度、介護保険などがこれに該当しますが ― 保険料と税によって運営されています。会員制クラブのようなものです。保険料を支払えなくなったら、そこからは落ちてしまうんですね。「社会福祉」はクッションのようなもの。トランポリンみたいに「落ちた人を労働市場に戻す」機能があります。ここがスカスカだと、「社会保険」からはじかれた際に、一気に「扶助」=生活保護まで滑落してしまう。
実際の個別の制度については、もちろんそれぞれ、細かい議論が必要です。しかし、おおまかな枠組みの捉え方としては、その社会保障制度は「社会保険」なのか、「社会福祉」なのか、まず分類して考えることが大事かと思います。それだけでも、だいぶ視界がスッキリしてきます。
これを単純計算しますが、0.01兆/3兆*100=0.0033*100=0.33%。すなわち、「不正受給」は生活保護費全体のなかで、わずか0.33%です。さらに、稼働収入の無申告や過少申告があった場合、行政の福祉事務所は課税調査の照会などによってそれを把握しています。ちなみに厚生労働省のデータには、インターネットを使えれば、誰でもすぐにアクセスすることができます。リンクを貼っておりますので、ご参照ください。
仮に、「冷徹」な言い方をしてみます。「不正受給をとりかえせ」というキャンペーンを大々的に展開するとしましょう。そのために必要なことは、「受給者バッシング」でないことは確かです。まず第一に、生活保護行政を担う福祉事務所のケースワークを充実させることです。
これは2005年のデータですが、福祉事務所の窓口のケースワーカーは1人当たり平均約80世帯を担当しています。定期的な保護世帯の訪問、毎月変動する保護費の計算、新規申請の相談や申請後の調査、生活保護の枠組みのみでは対応しきれないDVや児童虐待などの深刻かつ複雑なケースへの対応など、のしかかる業務の負荷は重い。 行政のケースワーカーの業務の負荷については、『生活保護VSワーキングプア 』大山典宏著(PHP新書)が読みやすく詳しいので、もしよかったら手にとってみてください。
―「不正受給が多い」というのは、メディアによってイメージが作られた部分もあるということでしょうか
大野氏:「不正受給が横行している」という言い方は、どこまでも「印象」の水準にとどまります。メディアが展開する、毎年恒例の「受給者バッシング」に踊らされている可能性が高い。建設的議論をしていくためには、嵐のようにセンセーショナルな事例を切り取って、しかもすぐに風化する「報道」に振り回されるのではなく。むしろその「中身の精査」のほうにこそ、関心を向けたほうがいいのではないでしょうか。
また、議論の前提として、社会保障のおおまかな「段階」を知っておくとよいと思います。日本の社会保障は、おおまかに分類して、「社会保険」―「社会福祉」―「扶助」の段階があります。日本の社会保障の特徴は、「社会保険」と「扶助」にウエイトが偏重していることです。「社会福祉」の層がスカスカなんですね。
生活保護は、「最後の砦」である「扶助」です。憲法第25条が保障する権利に基づき施行されている、生活保護法が法的根拠です。それ以上でも以下でもないと思います。今後の展望を考えていく際、第25条に依って政策や施策をひろげていくというのは、難しいのではないかと思われます。
「社会保険」は ― 日本では年金や医療の国民皆保険制度、介護保険などがこれに該当しますが ― 保険料と税によって運営されています。会員制クラブのようなものです。保険料を支払えなくなったら、そこからは落ちてしまうんですね。「社会福祉」はクッションのようなもの。トランポリンみたいに「落ちた人を労働市場に戻す」機能があります。ここがスカスカだと、「社会保険」からはじかれた際に、一気に「扶助」=生活保護まで滑落してしまう。
実際の個別の制度については、もちろんそれぞれ、細かい議論が必要です。しかし、おおまかな枠組みの捉え方としては、その社会保障制度は「社会保険」なのか、「社会福祉」なのか、まず分類して考えることが大事かと思います。それだけでも、だいぶ視界がスッキリしてきます。
平成23年5月10日に厚生労働省が公開した「生活保護制度の現状等について」によれば、平成21年度(2009年度)における生活保護総額は、事業費ベースでは約3兆円です。そのうち、「不正受給」は19726件、金額にして約100億円ですね。
これを単純計算しますが、0.01兆/3兆*100=0.0033*100=0.33%。すなわち、「不正受給」は生活保護費全体のなかで、わずか0.33%です。さらに、稼働収入の無申告や過少申告があった場合、行政の福祉事務所は課税調査の照会などによってそれを把握しています。ちなみに厚生労働省のデータには、インターネットを使えれば、誰でもすぐにアクセスすることができます。リンクを貼っておりますので、ご参照ください。
仮に、「冷徹」な言い方をしてみます。「不正受給をとりかえせ」というキャンペーンを大々的に展開するとしましょう。そのために必要なことは、「受給者バッシング」でないことは確かです。まず第一に、生活保護行政を担う福祉事務所のケースワークを充実させることです。
これは2005年のデータですが、福祉事務所の窓口のケースワーカーは1人当たり平均約80世帯を担当しています。定期的な保護世帯の訪問、毎月変動する保護費の計算、新規申請の相談や申請後の調査、生活保護の枠組みのみでは対応しきれないDVや児童虐待などの深刻かつ複雑なケースへの対応など、のしかかる業務の負荷は重い。 行政のケースワーカーの業務の負荷については、『生活保護VSワーキングプア 』大山典宏著(PHP新書)が読みやすく詳しいので、もしよかったら手にとってみてください。
―「不正受給が多い」というのは、メディアによってイメージが作られた部分もあるということでしょうか
大野氏:「不正受給が横行している」という言い方は、どこまでも「印象」の水準にとどまります。メディアが展開する、毎年恒例の「受給者バッシング」に踊らされている可能性が高い。建設的議論をしていくためには、嵐のようにセンセーショナルな事例を切り取って、しかもすぐに風化する「報道」に振り回されるのではなく。むしろその「中身の精査」のほうにこそ、関心を向けたほうがいいのではないでしょうか。
また、議論の前提として、社会保障のおおまかな「段階」を知っておくとよいと思います。日本の社会保障は、おおまかに分類して、「社会保険」―「社会福祉」―「扶助」の段階があります。日本の社会保障の特徴は、「社会保険」と「扶助」にウエイトが偏重していることです。「社会福祉」の層がスカスカなんですね。
生活保護は、「最後の砦」である「扶助」です。憲法第25条が保障する権利に基づき施行されている、生活保護法が法的根拠です。それ以上でも以下でもないと思います。今後の展望を考えていく際、第25条に依って政策や施策をひろげていくというのは、難しいのではないかと思われます。
「社会保険」は ― 日本では年金や医療の国民皆保険制度、介護保険などがこれに該当しますが ― 保険料と税によって運営されています。会員制クラブのようなものです。保険料を支払えなくなったら、そこからは落ちてしまうんですね。「社会福祉」はクッションのようなもの。トランポリンみたいに「落ちた人を労働市場に戻す」機能があります。ここがスカスカだと、「社会保険」からはじかれた際に、一気に「扶助」=生活保護まで滑落してしまう。
実際の個別の制度については、もちろんそれぞれ、細かい議論が必要です。しかし、おおまかな枠組みの捉え方としては、その社会保障制度は「社会保険」なのか、「社会福祉」なのか、まず分類して考えることが大事かと思います。それだけでも、だいぶ視界がスッキリしてきます。
これを単純計算しますが、0.01兆/3兆*100=0.0033*100=0.33%。すなわち、「不正受給」は生活保護費全体のなかで、わずか0.33%です。さらに、稼働収入の無申告や過少申告があった場合、行政の福祉事務所は課税調査の照会などによってそれを把握しています。ちなみに厚生労働省のデータには、インターネットを使えれば、誰でもすぐにアクセスすることができます。リンクを貼っておりますので、ご参照ください。
仮に、「冷徹」な言い方をしてみます。「不正受給をとりかえせ」というキャンペーンを大々的に展開するとしましょう。そのために必要なことは、「受給者バッシング」でないことは確かです。まず第一に、生活保護行政を担う福祉事務所のケースワークを充実させることです。
これは2005年のデータですが、福祉事務所の窓口のケースワーカーは1人当たり平均約80世帯を担当しています。定期的な保護世帯の訪問、毎月変動する保護費の計算、新規申請の相談や申請後の調査、生活保護の枠組みのみでは対応しきれないDVや児童虐待などの深刻かつ複雑なケースへの対応など、のしかかる業務の負荷は重い。 行政のケースワーカーの業務の負荷については、『生活保護VSワーキングプア 』大山典宏著(PHP新書)が読みやすく詳しいので、もしよかったら手にとってみてください。
―「不正受給が多い」というのは、メディアによってイメージが作られた部分もあるということでしょうか
大野氏:「不正受給が横行している」という言い方は、どこまでも「印象」の水準にとどまります。メディアが展開する、毎年恒例の「受給者バッシング」に踊らされている可能性が高い。建設的議論をしていくためには、嵐のようにセンセーショナルな事例を切り取って、しかもすぐに風化する「報道」に振り回されるのではなく。むしろその「中身の精査」のほうにこそ、関心を向けたほうがいいのではないでしょうか。
また、議論の前提として、社会保障のおおまかな「段階」を知っておくとよいと思います。日本の社会保障は、おおまかに分類して、「社会保険」―「社会福祉」―「扶助」の段階があります。日本の社会保障の特徴は、「社会保険」と「扶助」にウエイトが偏重していることです。「社会福祉」の層がスカスカなんですね。
生活保護は、「最後の砦」である「扶助」です。憲法第25条が保障する権利に基づき施行されている、生活保護法が法的根拠です。それ以上でも以下でもないと思います。今後の展望を考えていく際、第25条に依って政策や施策をひろげていくというのは、難しいのではないかと思われます。
「社会保険」は ― 日本では年金や医療の国民皆保険制度、介護保険などがこれに該当しますが ― 保険料と税によって運営されています。会員制クラブのようなものです。保険料を支払えなくなったら、そこからは落ちてしまうんですね。「社会福祉」はクッションのようなもの。トランポリンみたいに「落ちた人を労働市場に戻す」機能があります。ここがスカスカだと、「社会保険」からはじかれた際に、一気に「扶助」=生活保護まで滑落してしまう。
実際の個別の制度については、もちろんそれぞれ、細かい議論が必要です。しかし、おおまかな枠組みの捉え方としては、その社会保障制度は「社会保険」なのか、「社会福祉」なのか、まず分類して考えることが大事かと思います。それだけでも、だいぶ視界がスッキリしてきます。
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