これを速水融氏は勤勉革命(industrious revolution)と呼んでいる。農民が土地にしばりつけられ、農地の拡大の余地の乏しかった江戸時代には、与えられた農地で長時間労働することが唯一の生産性向上の手段だった。名目上の石高で決められる年貢を超える部分は農民自身の収入になったので彼らの労働意欲は高く、狭い土地を徹底的に有効利用する集約農業が発達した。普通は農業技術が発達すると人間の労働を牛馬で代替するようになるが、江戸時代には逆に人間が牛馬を代替したのである。

これは資本集約的な機械の導入によって産業化する産業革命(industrial revolution)と対照的に、労働集約的な「勤勉」で生産性を上げるものだ。それを実現するには労働者が自発的に長時間労働するしくみが必要だが、農民が死ぬまで一緒に暮らさざるをえない村社会では、怠け者は村八分にされる。つまり労働の固定性が、モラルハザードを防止して勤勉革命を実現する上で有効だったのである。

このような勤勉革命が300年ぐらい続いたことから、日本人の感情には労働奉仕を求める偏狭な利他主義が深く埋め込まれていると思われる。近代化した後も、貧弱な資本で長時間労働によって高い品質を実現した。工場では一生同じ釜の飯を食う同僚が相互監視しているので情報の非対称性はなく、モラルハザードは起こりえない。この特徴は、貧弱な装備を「大和魂」で補おうとした日本軍によくあらわれている。

こうした「空気」の同調圧力が日本企業の効率性を支えてきたが、それは労働者を幸福にしない。小池和男氏なども指摘するように、日本の労働者は会社がきらいだ。彼らは会社を辞めるという外部オプションがないから残業しているだけで、匿名になると2ちゃんねるに会社の悪口を書き連ね、他人を激しく攻撃する。
これを速水融氏は勤勉革命(industrious revolution)と呼んでいる。農民が土地にしばりつけられ、農地の拡大の余地の乏しかった江戸時代には、与えられた農地で長時間労働することが唯一の生産性向上の手段だった。名目上の石高で決められる年貢を超える部分は農民自身の収入になったので彼らの労働意欲は高く、狭い土地を徹底的に有効利用する集約農業が発達した。普通は農業技術が発達すると人間の労働を牛馬で代替するようになるが、江戸時代には逆に人間が牛馬を代替したのである。

これは資本集約的な機械の導入によって産業化する産業革命(industrial revolution)と対照的に、労働集約的な「勤勉」で生産性を上げるものだ。それを実現するには労働者が自発的に長時間労働するしくみが必要だが、農民が死ぬまで一緒に暮らさざるをえない村社会では、怠け者は村八分にされる。つまり労働の固定性が、モラルハザードを防止して勤勉革命を実現する上で有効だったのである。

このような勤勉革命が300年ぐらい続いたことから、日本人の感情には労働奉仕を求める偏狭な利他主義が深く埋め込まれていると思われる。近代化した後も、貧弱な資本で長時間労働によって高い品質を実現した。工場では一生同じ釜の飯を食う同僚が相互監視しているので情報の非対称性はなく、モラルハザードは起こりえない。この特徴は、貧弱な装備を「大和魂」で補おうとした日本軍によくあらわれている。

こうした「空気」の同調圧力が日本企業の効率性を支えてきたが、それは労働者を幸福にしない。小池和男氏なども指摘するように、日本の労働者は会社がきらいだ。彼らは会社を辞めるという外部オプションがないから残業しているだけで、匿名になると2ちゃんねるに会社の悪口を書き連ね、他人を激しく攻撃する。

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